書評:小林清美『アウトバーンとナチズム 景観エコロジーの誕生』ミネルヴァ書房2013年。




小林清美『アウトバーンとナチズム 景観エコロジーの誕生』ミネルヴァ書房、読了。緑の党の活躍や脱原発へいち早く舵を切ったことで名高い環境先進国・ドイツ。そのエコロジー的認識が高まったことのは戦後ではなくナチス体制期。アウトバーンと景観建設を切り口に正負の遺産を描き出す歴史研究。

自然保護や景観形成に力を入れたのは何も戦後ではない。高速道路網の整備による技術立国化を目指していたヒトラーたちがエコロジー思想を抱いていたわけではない。しかし民族の遺産としての環境保全は開発と自然の融和へと収斂する。

エコロジーの盛り上がりはワイマール期よりナチス期の方がいきおいを増したこともあり、景観育成のほか、有機農法等々様々な試みが為された時代である。〈緑〉とナチズムの共犯関係に迫る本書は、今日的な政策を冷静に捉えようとする。

 http://www.minervashobo.co.jp/book/b108514.html 個人の情念としてのロマン主義は否定しないものの、そうしたものが公共政策に多大な影響をあたえるときついなあ、という感慨。よければいいということに躊躇してしまう







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