覚え書:「みんなの広場 戦争の『狂気』は内側から」、『毎日新聞』2013年12月16日(月)付。
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戦争へ向かう国の前段階というのは皆似たような様相を呈すのだろう。経済政策が一息ついたかと思いきや、あっという間に戦時体制に衣替えをする早業を見せた安倍政権。一部の人たちは熱狂的に、または「ごく自然に」彼らを支持する。
他国との戦力差をゲームのように比べて生活基盤は近隣国に勝っているから安心だとでも思うのだろうか。でも外敵に襲われるばかりが戦争ではない。むしろ戦争の狂気は「内側」から先にやって来て庶民の声を奪う。その底知れない不気味さに気づく嗅覚を私たちは磨いておくべきだった。
70年前の思想統制の怖さを知る多くの人が警鐘を鳴らしているのに、当時を知らない人間がなぜ大丈夫と言えるのか。「国をまもるとか国益とかいいます。そのときの国という言葉には、ぼくらの暮らしやいのちはふくまれていないはずです」−−戦時中は大政翼賛会宣伝部に籍を置いた暮らしの手帖初代編集長、花森安治氏の言葉である。私たちはどこに行くのだろう。
−−「みんなの広場 戦争の『狂気』は内側から」、『毎日新聞』2013年12月16日(月)付。
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