覚え書:「キノコ切手の博物館 [著]石川博己 [評者]三浦しをん(作家)」、『朝日新聞』2013年12月22日(日)付。
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キノコ切手の博物館 [著]石川博己
[評者]三浦しをん(作家) [掲載]2013年12月22日 [ジャンル]文芸 科学・生物
■鮮やかな美術書のような味わい
40年近くも「世界のキノコ切手」を収集しつづけている著者による、キノコ愛&切手愛あふれる本。キノコをモチーフにした各国の切手が、フルカラーで紹介される。
著者は、実物のキノコを野山で観察するのも大好きなのだそうだ。実感に基づき、切手に登場するキノコを親切かつ丁寧に解説してくれる。本書の隅々まで神経が配られていて、色鮮やかなキノコ切手を、図鑑のようにも美術書のようにも味わえた。「こんなに奥深く楽しい趣味があるのか」と、キノコ切手収集の道に覚醒してしまいそうだ。
いや、著者の情熱を、「趣味」の一言で片づけていいのか? 自身のコレクションに抜けがあることに気づいた著者は、「慢心していたわけでもなかったのですが」と内省するのだった。趣味であるはずの切手収集が、ほとんど修行の域に達している!
だれかの情熱に触れると、なぜかひとは幸せを感じる。眺めるうちに笑顔になった一冊だ。
◇
郵趣サービス社・1680円
−−「キノコ切手の博物館 [著]石川博己 [評者]三浦しをん(作家)」、『朝日新聞』2013年12月22日(日)付。
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