覚え書:「今週の本棚・新刊:『山の本をつくる』=中西健夫・著」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『山の本をつくる』=中西健夫・著
毎日新聞 2014年01月19日 東京朝刊
(ナカニシヤ出版・2940円)
京都大にほど近いナカニシヤ出版は人文系の専門書で定評ある中堅出版社だが、良質の山岳書をコツコツと出していることでも知られる。「先生方の本をこれまで2000冊ほど出してきましたが、生涯に1冊だけ自分の本をつくってみよう」と、77歳になる社長の中西健夫さんがまとめたのが本書だ。
本人も若いころから京都・北山や比良山、奥美濃の山々を熱心に歩いた。今西錦司、桑原武夫ら一級の学者で、かつ登山家でもあった人々の背中を眺めながら、『鈴鹿の山と谷』『カラコルム・ヒンズークシュ登山地図』『新日本山岳誌』などの大著を次々と刊行。「旧制京都一中の山岳部には立派な図書室があったんや、そこがほかのスポーツと違うとこやと、梅棹忠夫先生が自慢されていた。登山は文化です」と信じるからだ。
今の中高年登山は健康志向で、山の本を読まなくなった。大手出版社もあまり出したがらない。
だがターゲットを絞れば山岳書も採算がとれる。「その辺りのノウハウもこの本に込めました」。伝統を絶やさず、次代に受け継ぎたいという思いが伝わる。(榊)
−−「今週の本棚・新刊:『山の本をつくる』=中西健夫・著」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20140119ddm015070020000c.html