書評:細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史』新潮社、2013年。




細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史』新潮社、読了。世界で初のアニメーションは『愉快な百面相』(1906年)。3分の作品は黒板に描かれたチョーク画だった。黒板の絵が動く。最初期のアニメはヴォードヴィルの「チョーク・トーク」に由来。寄場の似顔絵即興劇がその原型という。

本書は、『愉快な百面相』から『トムとジェリー』に至るまで、個々の作品分析を通して「アニメーションの表現史」を辿るユニークな試み。ウィンザー・マッケイ、W・ディズニー、フライシャー兄弟など、巨匠たちの表現技法について具体的に解読する。

著者の専門は、視聴覚メディア史(言葉と身体動作の時間構造)。映像とセリフのシンクロニシティを巡る考察がスリリング。アメリカではプレシンク、日本ではポストシンク。前者は映像と音声を合わせるが、後者は無視する。アフレコは浄瑠璃等の伝統に浮上する。

「アニメーションの傑作はいかに作られたか?」(帯) 本書は著者の大学での講義が本書の元になっているが、映像と併せて読むとより理解しやすい。


これが世界で最初のアニメーション「愉快な百面相」(1906)ですね。
Humorous Phases of Funny Faces:












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