覚え書:「(声)『アンネの日記』破損は蛮行」、『朝日新聞』2014年02月26日(水)付。
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東京都内の公立図書館で、第2次世界大戦中のナチス・ドイツのユダヤ人迫害下で書かれた「アンネの日記」や関連図書300冊以上がページを破られる被害に遭ったと報道された。
日記は世界記憶遺産である。著者アンネ・フランクは強制収容所で短い生涯を閉じた。ナチスのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)では約600万人が犠牲になったと言われている。
公の施設に他ならない図書館の中で、こうした文献が故意に破損される。私には、卑劣な行為、恥ずべき行いという非難では済まない蛮行に映る。人権擁護や人命尊重の思想に正面から敵対する行為だと感じる。
最近、人権侵害や人命軽視への抵抗が一昔前に比べて薄まってきていると感じるのは私だけだろうか。陰湿なヘイトスピーチも同根の現象だ。公共図書館に置かれた世界記憶遺産が暴力的に破られるような国が、果たして民主主義の国、文明国と言えるだろうか。
−−「(声)『アンネの日記』破損は蛮行」、『朝日新聞』2014年02月26日(水)付。
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