覚え書:「今週の本棚・新刊:『日本の教育はまちがっている!』=戸塚悦朗・著」、『毎日新聞』2014年03月16日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『日本の教育はまちがっている!』=戸塚悦朗・著
毎日新聞 2014年03月16日 東京朝刊

 (アジェンダ・プロジェクト・525円)

 書店で見たら「自虐史観がうんぬん」といった、今どき売れ筋の本に間違いそうな題だが、中身は真逆である。義務教育学齢の在日外国人に多数の不就学者がいたり、日本人がインターナショナルスクールへ通いにくい現状を批判し、「国民の育成」を目的とする義務教育のあり方はグローバル化にそぐわないとする。

 昨年、文部科学省は国連委員会で、6−15歳の在日外国人数と日本の小中学校に通う外国人数を報告した。該当者の半数近い6万人以上が「不就学」とか。多くはインターナショナルスクールなど外国人学校に通うが、何の学校にも通えない子供も、万単位でいる。他方、日本人の子供が多様な価値観や語学力を身につけたくてインターナショナルスクールなどに入る場合、これらの学校は正規の小中学校ではないため、就学義務違反に問われる可能性がある。外国人にも就学義務を課しつつ、外国人学校にも日本の小中学校と同じ法的立場を与えよと、本書は訴える。

 内向きな今の社会で、本書の主張は理想的すぎるかもしれない。とはいえ、特に外国人の不就学を放置すれば、問題は拡大する。議論の要点を知る第一歩にお勧めだ。(生)
    −−「今週の本棚・新刊:『日本の教育はまちがっている!』=戸塚悦朗・著」、『毎日新聞』2014年03月16日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140316ddm015070036000c.html





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