覚え書:「今週の本棚・新刊:『家族難民』=山田昌弘・著」、『毎日新聞』2014年03月23日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『家族難民』=山田昌弘・著
毎日新聞 2014年03月23日 東京朝刊

 (朝日新聞出版・1680円)

 単身世帯が増えているであろうことは感じていたが、数字で示されると説得力が違う。1950年には、30−34歳の未婚の男性は8%に過ぎなかったが、2010年には47・3%に上昇している。今の若者の4人に1人が、生涯未婚で終わるだろうと山田氏は予測する。離別、死別も含め、「自分を必要とし大切にしてくれる存在がいない人たち」が急増している。そのような人々は、経済的・社会的・心理的にとても脆弱(ぜいじゃく)な状態に置かれている。

 日本の社会保障制度は、正社員の男性と妻、子供という標準家族を前提にしてきた。25歳の年の差カップルで、年上の男性が亡くなれば、妻は十分な遺族年金を受け取り続ける。しかし、未婚の娘が25歳年長の父親を介護していた場合、父親が死ねば即座に娘は生活に困窮するようになる。「家族」からはみ出した人々を切り捨ててきた結果、結婚の敷居が高くなり、格差は固定化し、少子化に拍車をかける状況となっている。「べき」論だけで現状を無視するのは、もはや政治とは言えない。社会保障制度を個人単位に切り替え、多様な生き方に適応できるようにしなければ、日本の未来はない。(市) 
    −−「今週の本棚・新刊:『家族難民』=山田昌弘・著」、『毎日新聞』2014年03月23日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140323ddm015070048000c.html





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「家族」難民: 生涯未婚率25%社会の衝撃
山田昌弘
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