覚え書:「(声)人権意識希薄すぎる入国管理局」、『朝日新聞』2014年03月28日(金)付。

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(声)人権意識希薄すぎる入国管理局
2014年3月28日

フリーライター(東京都 65)

「入管職員の違法な制圧行為による窒息死だった」

 4年前、日本での在留期限が切れたガーナ人男性が成田空港から強制送還される際に急死した事件をめぐって、東京地裁は、そう事実認定した。2020年に開催される東京五輪で、多くの外国人を迎える日本にとって衝撃的な事件であり判決だ。法務省・入国管理局はもとより、日本全体がこの事件を猛省し対応を改めない限り、五輪を開催する資格はないのではないかと思う。

 報道などによると、男性は手足に手錠をされタオルで口を猿ぐつわのようにふさがれて座席で前かがみに押さえられていた。両手首もプラスチック製の結束バンドでズボンのベルトに固定されていた。人間扱いしない残虐な行為というほかなく人権感覚を疑わざるを得ない。

 さらに気になる点がある。被害者がアフリカ系ゆえに、差別的な扱いを受けたのではないかとの疑念だ。果たして、欧米系の人たちにも入管職員は、今回のような手荒な対応をするのだろうか。この事件は、世界中から注目されており、米国務省の人権報告書も「残虐で非人道的」と指摘したという。日本の人権感覚が世界から問われていることを肝に銘ずるべきだ。
    −−「(声)人権意識希薄すぎる入国管理局」、『朝日新聞』2014年03月28日(金)付。

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