覚え書:「特定秘密保護法に言いたい:国会もコントロール不能−−元官房長官・与謝野馨さん」、『毎日新聞』2014年04月09日(水)付。

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特定秘密保護法に言いたい:国会もコントロール不能−−元官房長官与謝野馨さん
毎日新聞 2014年04月09日 東京朝刊

 ◇与謝野馨さん(75)

 官僚に秘密保護法のような「武器」を与えると、どこまで悪用されるか分からない。国会がコントロールすることもできなくなってしまう。1941年に治安維持法が改正された。帝国議会での審議では「穏やかな法律だ」と強調されたはずなのに、実際はどうなったか。翌年の総選挙は内務省や警察による大弾圧のもとで行われ、言論で政府に立ち向かう政治家はいなくなった。

 法による統治が確立している米国でも、2001年9月11日の同時多発テロの後、「愛国者法」など自由を脅かす法律が作られ、令状を必要としない捜査の範囲が広がり、通信傍受も抑制的に使うことがなくなった。

 日本で国の安全を脅かすような事態が起きていない今、この法律は必要だろうか。私は第1次安倍改造内閣官房長官を務めたが、当時はこういう法律の話は聞いていない。情報が漏れることを懸念するなら、国家公務員法の最高刑を懲役1年から懲役3年程度に引き上げればよいだけだ。

 1980年代に自民党が提出したスパイ防止法案を思い出す。今回の法律はその名残のような気がしてならない。

 秘密保護法をめぐっては報道の自由との関係をもっと議論すべきだった。日本は民主主義が成熟しているから即座に心配はないとは思うが、報道機関に情報を漏らした公務員、公務員から情報を得た記者が摘発される余地がある。新聞社はもっと真剣に闘うべきだったんじゃないか。【聞き手・青島顕、写真・森田剛史】=随時掲載

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 ■人物略歴

 ◇よさの・かおる

 1938年生まれ。中曽根康弘元首相の秘書を経て衆院当選10回。政策通で財務相など重要閣僚を歴任。がん闘病を告白して話題になった。
    −−「特定秘密保護法に言いたい:国会もコントロール不能−−元官房長官与謝野馨さん」、『毎日新聞』2014年04月09日(水)付。

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