覚え書:「今週の本棚・新刊:『ヤンキー化する日本』=斎藤環・著」、『毎日新聞』2014年04月13日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『ヤンキー化する日本』=斎藤環・著
毎日新聞 2014年04月13日 東京朝刊

 (角川oneテーマ21・864円)

 「ヤンキー」は今の日本の傾向を理解するのに必須のキーワードだが、どれくらい認知されているだろう。

 定義は明快−−バッドセンス、キャラとコミュニケーション、アゲアゲのノリと気合い、リアリズムとロマンティシズム、角栄的リアリズム、ポエムな美意識と“女性”性。

 このフィルターにひっかかる社会現象が世に溢(あふ)れている。安倍政権はまんまヤンキーだ。「ノリと気合い」でなんとかなると思って靖国神社に参拝し憲法を変えようとしている。

 ヤンキーは現実的な難関を精神の力で越えられると信じてしまう。それは「個人対個人ではありえたとしても、戦争においてはありえない」と斎藤は言う。

 前著『世界が土曜の夜の夢なら』に始まったヤンキー解析が、本書では六人の相手との対談に展開される。そのメンバーが村上隆、溝口敦、デーブ・スペクター、與那覇潤、海猫沢めろん隈研吾。あまりに広範囲なヤンキー文化の浸透ぶりに目まいがするほど。

 ヤンキーに対抗するのはオタク。深いが狭く、細部にばかりこだわる不器用な性格。それでは、知識人とはつまり知識オタクなのか。(狄) 
    −−「今週の本棚・新刊:『ヤンキー化する日本』=斎藤環・著」、『毎日新聞』2014年04月13日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140413ddm015070028000c.html





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