覚え書:「特定秘密保護法に言いたい:患者情報、提供義務に反対−−精神科医・富田三樹生さん」、『毎日新聞』2014年04月11日(金)付。
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特定秘密保護法に言いたい:患者情報、提供義務に反対−−精神科医・富田三樹生さん
毎日新聞 2014年04月11日 東京朝刊
◇富田三樹生さん(70)
特定秘密を扱うことのできる人は「適性評価」と呼ばれる身辺調査で政府に選ばれる。調査項目は「薬物の乱用」「精神疾患」「飲酒の節度」などで、対象者が精神科に受診していた場合、精神科医に照会がかかる。
法案を審議していた昨年12月の参院の特別委員会で、担当官僚が「照会を受けた団体は回答する義務がある」と答弁した。私たちは驚いた。
医師には守秘義務がある。患者情報を第三者に提供するのは、保険の請求や病気で仕事を休むことの証明など、患者の利益になる場合に限られている。適性評価で患者の情報を行政に提供するのは、その限度を超える。「義務」になるのは到底容認できない。
全国の約1万5800人の精神科医でつくる日本精神神経学会の「法委員会」で議論し、学会として適性評価制度に反対する見解を3月に出した。患者情報の提供義務のほか、精神障害に対する偏見・差別を助長することを反対理由に挙げた。
政府は内部文書で「精神疾患で意識の混濁が生じると秘密を漏らすおそれがある」と評価した。意識障害は「精神」疾患ではなく、「神経」疾患に関係するもので見当違いだ。精神疾患が秘密を漏らす原因になるという医学的な根拠もない。
精神科医は患者の保険請求など限られた目的で行政に情報を提供している。秘密保護法の適用後は目的外に使われる恐れがないか。精神医療界がこの法律の監視対象にならないか心配している。【聞き手・青島顕】=随時掲載
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■人物略歴
◇とみた・みきお
1943年生まれ。日本精神神経学会法委員会委員長。多摩あおば病院(東京都東村山市)院長。心神喪失者医療観察法に反対した。
−−「特定秘密保護法に言いたい:患者情報、提供義務に反対−−精神科医・富田三樹生さん」、『毎日新聞』2014年04月11日(金)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20140411ddm012010061000c.html