覚え書:「今週の本棚・新刊:『現代の名匠』=聞き手・鈴木博之」、『毎日新聞』2014年05月11日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『現代の名匠』=聞き手・鈴木博之
毎日新聞 2014年05月11日 東京朝刊

 (建築画報社・3564円)

 戦後の日本建築を牽引(けんいん)した21人へのインタビュー集。世界的に活躍する磯崎新槇文彦、地域に根ざす「土佐派」の山本長水(ひさみ)、女性建築家の草分けの小川信子ら、そうそうたる顔ぶれが並ぶ。菊竹清訓(きよのり)や林昌二ら、世を去った著名建築家も登場し、貴重な証言を残している。

 聞き手は今年2月死去した建築史家の鈴木博之が務め、建築専門出版社の創立50周年を記念して刊行された。生い立ちや修業時代、作品が生まれた時代背景、設計信条などについて切り込み、各人から率直な答えを引き出している。

 どのインタビューも示唆に富んでいるが、中でも組織設計事務所「日本設計」を設立した池田武邦の軌跡は波乱に満ちている。海軍軍人としてレイテ沖、マリアナ沖両海戦を戦い、戦後に建築の道へ進んだ。霞が関ビルの設計に携わり、<超高層の時代>を切り開いていくが、人工的な環境の限界に気付き、自然との調和を重視する建築の追究に転じた。

 かやぶきの家に住む池田は語る。「自然を神として、自然に対する恐れ、敬いをもつところに日本文化の原点があるという思いに至った」。名匠の知見に耳を傾けたい。(晶)    −−「今週の本棚・新刊:『現代の名匠』=聞き手・鈴木博之」、『毎日新聞』2014年05月11日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140511ddm015070018000c.html





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