覚え書:「今週の本棚・新刊:『鉄道政策 鉄道への公的関与について』=盛山正仁・著」、『毎日新聞』2014年05月18日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『鉄道政策 鉄道への公的関与について』=盛山正仁・著
毎日新聞 2014年05月18日 東京朝刊
(創英社/三省堂書店・3024円)
何気なく利用している鉄道が、どのように生まれ、運営されているか、詳細な資料とともにひもとく。
新橋−横浜に初めて汽笛が響いた1872年以降、鉄道は日本の人とモノの輸送の中核となった。だが、戦後のモータリゼーションの発達によって、輸送シェアは下がっていく。今や鉄道による旅客輸送量は全体の4分の1、貨物輸送量は1%に満たない。地方では存続が危ぶまれる鉄路も多く、JRでも夜行などの長距離列車が次々と姿を消している。
高速バスの事故や、長距離トラックが排出する温室効果ガスの増大を耳にするたび、「鉄道軽視の風潮」に違和感を持っていた。だから、著者の「鉄道は社会にとって必要なサービス」との言葉には合点がいく。
東日本大震災から3年たち、甚大な被害を受けた三陸鉄道が全線再開した際の沿線住民の笑顔は印象的だった。鉄道は地域の足であるだけではなく「顔」でもある、と気付かされた。国鉄民営化以降、「採算第一」「民間運営」が原則となった鉄道の未来に、国や自治体がどうかかわるべきか。著者は「公的負担を投入し、維持することも検討すべきだ」との一石を投じる。(悦)
−−「今週の本棚・新刊:『鉄道政策 鉄道への公的関与について』=盛山正仁・著」、『毎日新聞』2014年05月18日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20140518ddm015070044000c.html