覚え書:「今週の本棚・新刊:『暴露 スノーデンが私に託したファイル』=グレン・グリーンウォルド著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『暴露 スノーデンが私に託したファイル』=グレン・グリーンウォルド著
毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊
(新潮社・1836円)
2012年12月、著者宛にある人物から一通のメールが届く。やり取りの前、執拗(しつよう)に暗号化ソフトのインストールを迫った送り主は、米政府の最高機密文書を入手していたエドワード・スノーデンだった。情報提供を受けた著者は、英紙ガーディアンで米国家安全保障局(NSA)の情報収集活動の実態を報じ世界は驚愕(きょうがく)する。本書によると、NSAは全世界の電子通信を監視下に置くことを目指している。入力・閲覧情報を入手できるソフトを開発し、パソコン5万台以上に忍びこませていた。
「大量の情報収集は国民の利益になる。ならず者を監視するために必要だ」。政府側の論理は通りがいい。だが「大量監視システム」は13年のボストンテロは防げなかったし、メタデータに「本物の計画」は埋もれ、見られているとの疑念は人の言動を統制する、と本書は指摘している。
秘密保護法の施行、集団的自衛権の行使容認といった日本が今置かれている状況とよく響き合う。内部告発者の処遇やメディアの立ち位置、監視する権力をどう監視できるのか。そして「情報」とは一体誰のものかを考えさせられる。=田口俊樹、濱野大道、武藤陽生訳(部)
−−「今週の本棚・新刊:『暴露 スノーデンが私に託したファイル』=グレン・グリーンウォルド著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20140608ddm015070011000c.html