覚え書:「貘の檻 [編]道尾秀介」、『朝日新聞』2014年06月15日(日)付。

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貘の檻 [編]道尾秀介
[掲載]2014年06月15日   [ジャンル]人文 

 嫌な夢を見た時、夢で良かったと思う。しかしそれは本当に夢だったのだろうか。作品ごとに作風を変えてきた作家の、8年ぶりの書き下ろし長編。幻想と仕掛けで楽しませるミステリー。
 主人公の男は失職し、離婚している。月に1度だけ会える息子を見送った後、目の前で女が電車にはねられた。死の直前、女はこちらを見ていた。彼女の名前は、主人公に古い事件を思い出させる。
 32年前の真相を知るため、少年時代を過ごした信州の村へ。山にめぐらされた水路、一枚の写真。美しさとまがまがしさが作品を覆う。夢と現実は少しずつ重なり合うが、そうして浮かんできた真実が、また違う顔を見せる。
    ◇
 (新潮社・1944円)
    −−「貘の檻 [編]道尾秀介」、『朝日新聞』2014年06月15日(日)付。

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少しずつ重なり合う|好書好日





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貘の檻
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