覚え書:「風 [著]青山七恵」、『朝日新聞』2014年07月13日(日)付。
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風 [著]青山七恵
[掲載]2014年07月13日 [ジャンル]文芸
人と人との関係とは、風のようにつかみどころがないものかもしれない。日常の鋭い観察眼に定評がある著者の短編集。いずれも世界や他者とつながりたい(がうまくできない)思いを抱えた女性が主人公だ。
「二人の場合」では、同期入社の実加と未紀の15年間の友情を描く。「互いの鏡」だった2人の間には、仕事や結婚、出産などの環境や価値観の変化を機に、いつしか埋めようのない隔たりが生まれていく。親友であるがゆえ、変わってしまった相手を前に増える沈黙、やがて同時に意識する友情の終わり。少しずつだが確かにずれていく関係性が緻密(ちみつ)に描写され、自分事のようにやるせなくなる。ほか2作と著者直筆の掌編を収録。
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(河出書房新社・1512円)
−−「風 [著]青山七恵」、『朝日新聞』2014年07月13日(日)付。
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