覚え書:「今週の本棚・新刊:『とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語』=ジェニファー・T−カニーノ、ロナルド・コットン、エリン・トーニオ著」、『毎日新聞』2014年07月20日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語』=ジェニファー・T−カニーノ、ロナルド・コットン、エリン・トーニオ著
毎日新聞 2014年07月20日 東京朝刊
◇『とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語』
(岩波書店・3024円)
1984年、米国ノースカロライナ州。22歳の白人大学生ジェニファーが、性犯罪の被害者となってしまう。さまざまなセカンドレイプに遭いつつも、自らの証言で「犯人」を有罪に追い込んだ。他方、前科はあったが平和に暮らしていた22歳の黒人男性コットン。ある日突如、性犯罪の加害者として逮捕され無期懲役の判決。11年を獄中で暮らすことになる。随所で黒人差別を感じながら。本書は、著者のうちの2人の実話。
最新のDNA鑑定で冤罪(えんざい)が証明され、2人は再会。コットンはジェニファーの謝罪を受け入れる。彼女は許されることで自らのわだかまりから解き放たれ、真犯人に許すと手紙を書く。他の関係者に決して謝らない人たちもいるなかで、2人は強い信頼関係を築いてゆく。背景に、キリスト教的な感覚が見える。
もちろん、本書を単なる感動物語として消費するだけでは、著者の意をくんだことにならないだろう。2人の和解は、同州の司法制度改革にも結実した。日本の司法を考える際にも、参考になる点があるはずだ。=指宿信、岩川直子訳(生)
−−「今週の本棚・新刊:『とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語』=ジェニファー・T−カニーノ、ロナルド・コットン、エリン・トーニオ著」、『毎日新聞』2014年07月20日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20140720ddm015070042000c.html