覚え書:「今週の本棚・新刊:『体を使って心をおさめる 修験道入門』=田中利典・著」、『毎日新聞』2014年08月03日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『体を使って心をおさめる 修験道入門』=田中利典・著
毎日新聞 2014年08月03日 東京朝刊

 (集英社新書・799円)

 「さーんげさんげ(ざんげざんげ)、ろっこんしょうじょう(六根清浄)」。独特の掛け念仏を唱えながら深山幽谷を歩く修験道の山伏たち。今は、一部地方以外では時代劇などでしか見たことがない人も多いだろう。桜の名所として有名な奈良県吉野にある金峯山寺が、その本山の一つだとは意外に知られていないかもしれない。同寺が属する金峯山修験本宗の宗務総長が、修験道と山伏の歴史、山伏の修行の意味などを一般向けに記した。

 修験道は、奈良時代役行者(えんのぎょうじゃ)を開祖とする日本オリジナルの宗教で、仏教と神道が融合した山岳信仰だ。また、里で祈とうなどをして、広く庶民の願い事を請け負ってきた。その実践者である山伏は、出家と在家を問わない独特の立場にある。そのためもあり、明治初期に廃仏毀釈(きしゃく)などの流れの中で一度は禁止された。当時、職を失った山伏は、全国で17万人にも上るという。

 今も、山中を歩く修行には、一般の参加者を受け入れている。金峯山寺の場合、日帰りから7泊8日まであるとか。行きたくなった。信仰実践として自然の懐に抱かれる感覚を疑似体験できる一冊だ。(生)
    −−「今週の本棚・新刊:『体を使って心をおさめる 修験道入門』=田中利典・著」、『毎日新聞』2014年08月03日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140803ddm015070040000c.html





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体を使って心をおさめる 修験道入門 (集英社新書)
田中 利典
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