覚え書:「今週の本棚・新刊:『語る 兜太 わが俳句人生』=金子兜太・著、聞き手・黒田杏子」、『毎日新聞』2014年08月10日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『語る 兜太 わが俳句人生』=金子兜太・著、聞き手・黒田杏子
毎日新聞 2014年08月10日 東京朝刊
(岩波書店・2376円)
9月で95歳になる俳句界の巨匠が、秩父の地に生まれ、旧制高校時代に俳句を始めて以来、今日までの道程を語った。率直でユーモアに富む独特の語り口調が生かされていて読みやすい。飾らない人柄がよく伝わるのは、聞き手の手柄か。
著者は戦時中の1943年に大学を出て日銀に入るが、すぐ退職し、海軍主計中尉として南洋トラック島に赴任した。終戦の翌年に帰国し、日銀に復職後は組合活動に打ち込んだため「地方に飛ばされ」、一方で前衛俳句の旗手として活躍する中で俳句への専念を決意した。
戦後の現実を捉える社会性俳句に取り組んだ著者は、70年前後から種田山頭火ら漂泊型の人間にひかれるようになる。変節、伝統回帰と批判を受けたこの時期も、非難の言葉を浴びたおかげで「オレの今日がある訳だなあ」と振り返る。
日銀を55歳で定年退職する際、通信社記者だった藤原作弥氏(のち日銀副総裁)の取材に答えた貴重なインタビュー記事を収録。西東三鬼、加藤楸邨(しゅうそん)、石垣りん、小沢昭一ら俳壇内外の「忘れえぬ人々」52人それぞれについての書き下ろし短文、自筆略年譜、自選百句も収めた。(壱)
−−「今週の本棚・新刊:『語る 兜太 わが俳句人生』=金子兜太・著、聞き手・黒田杏子」、『毎日新聞』2014年08月10日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20140810ddm015070028000c.html