覚え書:「今週の本棚・新刊:『三省堂新現代川柳必携』=田口麦彦・編」、『毎日新聞』2014年09月07日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『三省堂新現代川柳必携』=田口麦彦・編
毎日新聞 2014年09月07日 東京朝刊
(三省堂・1944円)
東日本大震災から、もうすぐ3年半。一時期に比べて、被災地の現状を伝える出版物は減っているように感じられるが、本書では震災にまつわる40テーマ200句を収録。震災当時の記憶が薄れていく中で、被災者らによる五七五が読者の胸に響く。
「復興を急ぐと何度聞いたろう」「どんな夢描けばいいのかこの更地」
遅々として進まない復興への虚無感が伝わってくる一方、被災地に漂う感情はむなしさだけではない。
「三年目立派に海の幸戻る」
自然の脅威に打ちひしがれても、3年以上の時間を経て訪れた、新たな自然の恵みに希望を見いだす被災者の姿はたくましい。
明治以降の作品を網羅的に集めた2001年9月刊行のロングセラー『三省堂現代川柳必携』の待望の続編。現在活躍している川柳作家の秀句5000以上が読める。「震災」以外にも時事的なキーワードを積極的に取り入れ、「秘密保護法」「ツイッター」「TPP」「リケジョ」などの句も目に付く。
時代を映す鏡といえる川柳。その鑑賞用としてだけでなく、句作時の参考書にもなる。(唯)
−−「今週の本棚・新刊:『三省堂新現代川柳必携』=田口麦彦・編」、『毎日新聞』2014年09月07日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20140907ddm015070016000c.html