覚え書:「ヘーゲル:自著に書き込み デビュー作初版、東京・神田の古書店で発見」、『毎日新聞』2014年10月22日(水)付。


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ヘーゲル:自著に書き込み デビュー作初版、東京・神田の古書店で発見
毎日新聞 2014年10月22日 東京朝刊

ヘーゲルのデビュー作「フィヒテシェリングの哲学体系の差異」の初版本。右ページにはヘーゲルの直筆で、「注目すべきは『エアランゲン文芸新聞』の書評」といった書き込みが4行あり、その下に書評の一部が書き写されている=寄川条路氏提供
ヘーゲルのデビュー作「フィヒテシェリングの哲学体系の差異」の初版本。右ページにはヘーゲルの直筆で、「注目すべきは『エアランゲン文芸新聞』の書評」といった書き込みが4行あり、その下に書評の一部が書き写されている=寄川条路氏提供
 近代哲学の完成者として知られるドイツのヘーゲル(1770−1831)の直筆の書き込みがあるデビュー作の初版本が東京・神田の古書店で発見された。明治学院大の寄川(よりかわ)条路(じょうじ)教授(哲学)がヘーゲルの直筆と確認した。書き込みは当時の書評の一部で、寄川教授は「自分とは違う考え方に気づいて書き留め、手元に置いていた本と思われる。若き日のヘーゲルの思想が深化していく過程が明らかになった」と話している。

 発見されたのは1801年に出版された「フィヒテシェリングの哲学体系の差異」。初版本で発行部数は300冊前後という。表紙の裏に「今泉博士寄贈」と書かれ、次ページ以降に、ドイツ語の短い書き込みと、「エアランゲン文芸新聞」に02年に掲載された書評の一部が書き写されていた。

 寄川教授によると、ヘーゲルの筆跡と酷似しており、ドイツの研究機関「ヘーゲル文庫」にも資料を送り、「ヘーゲルの直筆に間違いない」との回答を受けたという。

 今泉博士は明治期にドイツに留学した今泉六郎獣医学博士。寄川教授は「ヘーゲルの死後にベルリンの古書店に流れた本を留学中の今泉博士が購入し、日本に持ち帰ったのでは」と分析。今泉博士が晩年、居住した神奈川県小田原市の小田原中学(現小田原高校)に寄贈。その後、東京の古書店に流れたとみられる。【木村光則】
    −−「ヘーゲル:自著に書き込み デビュー作初版、東京・神田の古書店で発見」、『毎日新聞』2014年10月22日(水)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20141022ddm041040209000c.html





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