覚え書:「特定秘密保護法に言いたい:「思うこと」普通に−−作家・森絵都さん」、『毎日新聞』2014年11月03日(月)付。
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特定秘密保護法に言いたい:「思うこと」普通に−−作家・森絵都さん
毎日新聞 2014年11月03日 東京朝刊
◇森絵都さん(46)
現場で人に会って、話を聞くことで実感できることが多い。東京電力福島第1原発事故で人々が避難した後、取り残されたペットを救出する活動に同行したことがある。立ち入りが規制された「20キロ圏内」に入り、「おいで、一緒に行こう」というルポを書いた。
圏内に入ることには、ためらいはあった。だが考えてみれば、20キロという線は明確な理由もなく引かれたものだ。なのに、みんなおとなしく従ってしまった。
特定秘密保護法では、秘密の範囲があいまいで、時の政府の解釈次第で広げられる余地がある。原発の問題が対象になるのか分からないが、いつかまた別のところで勝手な線が引かれるのかと思うと怖くなる。
先月、子どもの本に関わる作家、翻訳家たちのさまざまな団体が開いた秘密保護法を考えるシンポジウムに出席し、廃止を求めるアピールにも加わった。表現者として知りたいことを知ることができず、書きたいことが書けなくなることを心配している。
作家は政治的な発言を避けるべきだという人もいる。日本では政治的な問題は大声で叫ぶか、沈黙するかで、中間がないのが気になる。私は自分の声の大きさで普通に思っていることを発言したい。それが政治を変えることにつながると思う。
秘密保護法は来月施行される。すぐに影響が出るわけではないのかもしれないが、忘れず、怖がり過ぎて萎縮することもなく、長い間監視していくことが大切だと思う。【聞き手・青島顕】
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■人物略歴
◇もり・えと
1968年生まれ。「風に舞いあがるビニールシート」で直木賞。「カラフル」や近刊の「クラスメイツ」など中学生世代を主人公にした作品も多い。
−−「特定秘密保護法に言いたい:「思うこと」普通に−−作家・森絵都さん」、『毎日新聞』2014年11月03日(月)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20141103ddm004010062000c.html