覚え書:「くらしナビ・学ぶ:@大学 ウチの教授 東海大・乾淑子さん」、『毎日新聞』2014年12月09日(火)付。

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くらしナビ・学ぶ:@大学 ウチの教授 東海大・乾淑子さん
毎日新聞 2014年12月09日 東京朝刊


 ◇着物の戦争柄に見る歴史

 旭日旗(きょくじつき)に偵察機、戦況を伝える新聞記事−−。戦争をモチーフにした柄が描かれた着物の研究を始めて14年。私財を投じて買い集めた着物は500枚を超える。「ネットオークションで初めて見つけたときは『こんなものがあったのか』と驚きました」。調べてみると、本格的な収集家も研究家も見当たらない。「何とか保存しなければ」という一心で骨董(こっとう)市を巡り始めた。

 戦争柄最盛期の日露戦争(1904〜05年)時には、戦争モチーフにアールヌーボー調の縁取りがよく組み合わされている。「今で言うと、話題のスポットの絵に人気キャラクターをあしらうような感覚だったのでしょう。戦争柄は戦意発揚とは無縁で、売れる柄として作り手が選んだに過ぎないのです」

 国際文化学部(札幌キャンパス)での講義で近代日本の戦争イメージを着物柄から読み解くとともに、各地で講演会、展覧会を開く。現在は、新聞などのメディアと戦争柄との関係を研究する一方で、所蔵品の寄贈を検討中だ。意向を聞きつけた米国の美術館がすぐに駆けつけたが「国外への散逸は避けたい」と断ったという。「庶民が戦争をどう受け止めていたかをもの語る着物の収集、研究を後世に受け継いでほしい」と願っている。【上杉恵子】

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 ■人物略歴

 ◇いぬい・よしこ

 1987年お茶の水女子大学博士課程修了。専門は民族芸術、近代服飾史。著書に「図説 着物柄にみる戦争」(インパクト出版会)など。
    −−「くらしナビ・学ぶ:@大学 ウチの教授 東海大・乾淑子さん」、『毎日新聞』2014年12月09日(火)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20141209ddm013100017000c.html

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