覚え書:「ひと:崔象喜さん 5度目の歩き遍路を遂げた韓国人」、『朝日新聞』2014年12月19日(金)付。
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ひと:崔象喜さん 5度目の歩き遍路を遂げた韓国人
2014年12月19日
四国八十八カ所霊場を巡るお遍路さんに気さくに話しかけ、周囲によく人の輪ができている。「韓国は嫌い」と言われることもあるが、「私のことは嫌いにならないで」。冗談でこう切り返す日本語は、5巡した歩き遍路で覚えた。
ソウルで日本人向け民宿を営み、遍路文化を紹介する交流サイトを主宰している。事故死した父親の供養にと4年前、ネットで知った四国へ。遍路をもてなす「お接待」に元気をもらった。翌年は結婚式前の減量を兼ねて歩いた。気づけば毎年遍路に来るようになったが、つらい風にもあたった。
韓国人への道案内にと、2年前からハングルを記したシールを電柱などに貼っていたことが「条例違反」とネットで批判された。今年春には「遍路道を朝鮮人の手から守りましょう」などと書かれた貼り紙が遍路道で見つかった。
貼り紙のことは韓国でも報道された。悩んだが、「応援してくれる友人のために逃げ出すわけにいかない」と9月に再び来日。歩きながら日韓友好のために遍路休憩所をつくる寄付集めを続けた。道中、「違反」と批判された自分のシールをはがしていると、手伝ってくれるお遍路さんがいた。
11月末に終えたこの5回目の遍路はいつもの倍近い77日間の旅だった。「困っていると誰かに助けられた。四国には温かい心が通っている。世界にそれを広げたい」
(文・写真 細川治子)
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チェサンヒ(39歳)
−−「ひと:崔象喜さん 5度目の歩き遍路を遂げた韓国人」、『朝日新聞』2014年12月19日(金)付。
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http://www.asahi.com/articles/DA3S11514501.html