覚え書:「本はともだち:自国の歴史に向き合う覚悟を ドイツの児童文学作家が来日講演」、『毎日新聞』2014年12月24日(水)付。


2


        • -

 
本はともだち:自国の歴史に向き合う覚悟を ドイツの児童文学作家が来日講演
毎日新聞 2014年12月24日 東京朝刊


 ドイツの児童文学作家、クラウス・コルドンさん(71)が国立国会図書館国際子ども図書館(東京都台東区)と大阪府立中央図書館(東大阪市)、大阪国際児童文学振興財団の招きで11月末に来日し、東京と大阪で講演。代表作で、第一次世界大戦後から第二次世界大戦にかけての激動のドイツを描いた「ベルリン」3部作に込めた思いを紹介した。【石村綾子】

 コルドンさんは1943年ベルリン生まれ。戦後、東ベルリンで育ち、後に西ドイツへ移住した。

 講演のタイトルは「わたしの物語作法−『古き』ベルリンの若者たちの今」。歴史小説を通じて「若者の考えや行動に力を与えたい」と言う。3部作は、ベルリンの貧困地区に暮らす一家の目を通して、ドイツ帝国がワイマール共和国へ移行する転換期▽ナチの権力掌握によってワイマール共和国が終わる転換期▽ナチの「第三帝国」が崩壊し人々に希望が芽生える時代−−の1918−45年を描いた。

 コルドンさんが歴史小説を書くきっかけとなったのは、80年代、15歳の子どもたちに第一次世界大戦の話をしたところ、何も知らず衝撃を受けたからだった。多くの命を奪った戦争を忘れてほしくない、誤った歴史認識を身に着けてほしくないと感じて取り組み始めた。

 古いビラや新聞、歴史書にあたりながら、カフェに集うお年寄りから体験を聞き取った。耳を覆いたくなるような記憶をたどり、悲惨な時代に潜るような作業は、精神的に厳しいものだったという。

 作品を通じ、ドイツの若者に自国の歴史に関心を持ってもらいたいと願う。「過去の影響を受けない現在はない。若者も歴史に向き合わされる覚悟をしておいたほうがよい」と語った。

 さらに、「昔の人が勘違いや過ちから困難な時代を生きたように、今も同様のことはあっても、現実を変えられる希望はある。多くの人に民主的な力を身に着けてもらいたい」と訴えた。

 ベルリン3部作は理論社刊。

==============

 「本はともだち」は毎月第4水曜日に掲載します。
    −−「本はともだち:自国の歴史に向き合う覚悟を ドイツの児童文学作家が来日講演」、『毎日新聞』2014年12月24日(水)付。

        • -








http://mainichi.jp/shimen/news/20141224ddm010040025000c.html



22

Resize0569

ベルリン1919
ベルリン1919
posted with amazlet at 14.12.24
クラウス コルドン
理論社
売り上げランキング: 14,448

ベルリン1933
ベルリン1933
posted with amazlet at 14.12.24
クラウス コルドン
理論社
売り上げランキング: 16,474


ベルリン1945
ベルリン1945
posted with amazlet at 14.12.24
クラウス コルドン
理論社
売り上げランキング: 14,522