覚え書:「今週の本棚・新刊:『ジョン・レディ・ブラック』=奥武則・著」、『毎日新聞』2015年02月08日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『ジョン・レディ・ブラック』=奥武則・著
毎日新聞 2015年02月08日 東京朝刊
(岩波書店・7344円)
ジョン・レディ・ブラックは、幕末に英字紙『ジャパン・ヘラルド』に関わり、明治初期に当時珍しい写真新聞『ファー・イースト』(英字)や、日本語による初めての政論紙『日新真事誌』を創刊したという、知る人ぞ知る存在である。だが、一体、どんな人物だったのか。
その波乱の人生に初めて光を当てたのがこの本である。新聞先進国の英国で生まれ育ち、結婚後は豪・アデレードに渡り、いっぱしの実業家になるがまもなく会社は破綻。その後はなぜか歌手に転向する。ところが、歌の合間に小話もという達者な芸で大成功。香港、上海などでの公演を経て横浜興行のために来日したのが38歳だった。それから日本で新聞人に転身していくのだから、なんとも多才な怪人だ。その時々のディテールの紹介が面白い。
ブラックは『日新真事誌』で板垣退助らの「民撰(みんせん)議院設立建白書」を「スクープ」し、自ら議院の早期開設を主張する論説を書いた。その一方で、時期尚早論も含め、紙面で論争の場を提供するなど「新聞の力」を発揮させた。まさに「近代日本ジャーナリズムの先駆者」(本書の副題)といえるだろう。(冠)
−−「今週の本棚・新刊:『ジョン・レディ・ブラック』=奥武則・著」、『毎日新聞』2015年02月08日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20150208ddm015070049000c.html
ジョン・レディ・ブラック――近代日本ジャーナリズムの先駆者
posted with amazlet at 15.02.11