覚え書:「今週の本棚・新刊:『韓国「反日」の真相』=澤田克己・著」、『毎日新聞』2015年02月15日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『韓国「反日」の真相』=澤田克己・著

毎日新聞 2015年02月15日 東京朝刊

 (文春新書・788円)

 現役のソウル特派員が、日ごろの取材から体得した韓国人の本音を具体例をもって明かしている。「反日」だけに限ることなく、日韓文化比較入門書にもなっている。

 冷戦の終結で、韓国では圧倒的だった日米の存在が、急速に縮小している。バブル経済崩壊で、日本の存在の希薄化が一段と加速された。著者はその一例として、社会的に成功するための留学を考えれば、日本でなく、米国、中国を選択するとの、韓国学生の弁を紹介する。

 さらに韓国各層に蔓延(まんえん)する中国への無力感の具体例として、朴槿恵(パククネ)政権発足後の対中外交のキーワードとして登場した「人文紐帯(ちゅうたい)」に着目。「儒教と漢字に代表される文化的同質性や歴史的つながりを関係強化の理由」にしていると、分析する。韓国で流布する例え話「米国を『沈む太陽』、中国を『昇る太陽』」の延長線上での、政策転換との位置付けは、秀逸だ。

 こうした中韓接近を「『中国にひきずられている』という方が実態に近い」と、著者は断言する。複雑な歴史認識が絡む日韓関係を、一刀両断にしようとする昨今の日本での風潮への、戒めにもなっている。(喬)
    −−「今週の本棚・新刊:『韓国「反日」の真相』=澤田克己・著」、『毎日新聞』2015年02月15日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20150215ddm015070021000c.html



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