覚え書:「今週の本棚・新刊:『スクールセイバー 学園危機一髪!』=須藤靖貴・著」。『毎日新聞』2015年02月22日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『スクールセイバー 学園危機一髪!』=須藤靖貴・著
毎日新聞 2015年02月22日 東京朝刊
(小学館文庫・626円)
5編を収めた連作短編集。ある私立高校が舞台。教頭をはじめ、教員と用務員の計6人で構成するスクールセイバーは、学校で不祥事やトラブルが起きた時に秘密裏に解決する組織だ。メンバーの一人である若い体育教諭を主人公にして、鮮やかな解決を描いていく。ユーモアを交えた平易な文章はとても読みやすい。しかし、謎めいた事件を探るうちに、教育をめぐって、さまざまな人間模様が浮かび上がってくる。そしていろいろと考えさせられもする。
教師による体罰は許されるか。高校生がマージャンをしてもいいのか。高校生がノンアルコールビールを飲んではいけない理由は何か。卒業式の爆破予告は一体、誰がしたのか。メンバーたちは用務員の「あらじい」が経営しているもつ焼き店で議論を重ね、それをもとに主人公が実際に探りを入れ、やがて真相が明らかになってくる。いつも最も鋭い推理を示すのは、この「あらじい」だ。世間の裏と表に通じ、人間心理のありようにも洞察が深い。
著者は1964年生まれ。スポーツ小説を中心に手がけてきたが、これが2冊目になるこのシリーズで、新境地を切り開いた。(重)
−−「今週の本棚・新刊:『スクールセイバー 学園危機一髪!』=須藤靖貴・著」。『毎日新聞』2015年02月22日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20150222ddm015070046000c.html
スクールセイバー 学園危機一髪! (小学館文庫)
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