覚え書:「伏字の文化史―検閲・文学・出版 [著]牧義之」、『朝日新聞』2015年02月22日(日)付。

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伏字の文化史―検閲・文学・出版 [著]牧義之
[掲載]2015年02月22日   [ジャンル]社会 
 
 戦前日本の出版界は、検閲による削除箇所を○○、△△などの伏せ字で示した。時には原文がひそかに配られたり、○の代わりに数字を入れて、対応する文字の配列表が配られたりしたこともある。それでなくても字数は原文と厳密に対応しているから、心得のある読者ならある程度想像できる。「○○なら天皇」と出版社と読者の間に暗黙の了解が成立したことも。伏せ字を「当局に対する抵抗としての言論の仮の姿」とみて、修正過程をたどれる本など、膨大な一次資料から実態を明らかにする。
 実はこれは日本に独特な現象だった。戦後のGHQの検閲では「検閲したことがわからないように」修正することを求められたという。
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森話社・5184円
    −−「伏字の文化史―検閲・文学・出版 [著]牧義之」、『朝日新聞』2015年02月22日(日)付。

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抵抗としての言論の仮の姿|好書好日


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