覚え書:「今週の本棚・新刊:『京都で働く アウェイな場所での挑戦』=アリカ編」、『毎日新聞』2015年03月22日(日)付。


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今週の本棚・新刊:『京都で働く アウェイな場所での挑戦』=アリカ編
毎日新聞 2015年03月22日 東京朝刊

 (新潮社・1512円)

 名だたる神社や仏閣に、しっとりした木造民家の街並み。京都を訪れた人なら、誰もが「この街に住みたい」と思ったことがあるだろう。他方、「いちげんさんお断り」で、他の地方の人に冷たいと思われがちなのも確か。そんな京都で、自営業や職人として活躍する、まったくの「よそ者」10人の人生に密着した。

 登場人物の職業は、染色家や蒔絵(まきえ)師などいかにも京都らしいものだけでなく、出版社にコーヒー豆販売、パン屋、生チョコレート店、地域密着が必須の不動産業まであり、保守的、閉鎖的京都のイメージを覆す。京都は、実は新しいもの好きなモダン都市。1世帯あたりのパン消費量は神戸に次ぐ全国第2位でもある。

 取材、編集をした京都のプロダクション「アリカ」自体、社員全員がよそ者という。最初は冷たく感じても、しっかり懐に飛び込めば深い人情があるのも京都流。登場する10人中6人が1975年前後の生まれ。つまり団塊ジュニア、「ロスジェネ世代」なのにも興味をひかれた。大学が多く、若い人を応援する風土もあるのが京都。よそ者を描いて、実は京都の生活文化を深く案内する本に仕上がっている。(生)
    −−「今週の本棚・新刊:『京都で働く アウェイな場所での挑戦』=アリカ編」、『毎日新聞』2015年03月22日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20150322ddm015070018000c.html








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京都で働く: アウェイな場所での挑戦

新潮社
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