覚え書:「人間のしわざ [著]青来有一」、『朝日新聞』2015年05月31日(日)付。


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人間のしわざ [著]青来有一
[掲載]2015年05月31日   [ジャンル]文芸 

 男は世界の紛争地を歩き、「人間のしわざ」のむごさを写真に収め続けてきた。その脳裏に、郷里の長崎で目にした教皇ヨハネ・パウロ二世の姿が繰り返し現れる。
 直前に訪れた広島で「戦争は人間のしわざです」と語ったというその人を囲む群衆に、男はかつて長崎で命を落とした殉教者たちの姿を重ねる。戦地の惨状が人間のしわざなら、神は、信仰は何もしてくれないのか−−。救いのない問いにさまよい、男は心の平衡を失っていく。
 長崎という土地の記憶に向き合ってきた著者が、今作では世界の紛争やテロを視線の延長線上にとらえた。重ねる問いの先に、人間のもろさと強さが浮かび上がる。
    ◇
 集英社・1620円
    −−「人間のしわざ [著]青来有一」、『朝日新聞』2015年05月31日(日)付。

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長崎という地の延長に|好書好日








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