覚え書:「今週の本棚・新刊:『希望の資本論 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか』=池上彰・佐藤優著」、『毎日新聞』2015年06月07日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『希望の資本論 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか』=池上彰・佐藤優著
毎日新聞 2015年06月07日 東京朝刊
(朝日新聞出版・1188円)
カール・マルクスの『資本論』をめぐって、ジャーナリストの池上彰氏と作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が対談する。1990年前後のベルリンの壁崩壊やソビエト連邦解体で、資本主義が共産主義に勝利したように思えた。ところが、2008年のリーマン・ショックなどによって、世界中で経済格差が拡大する中、資本主義の構造的限界を鋭く分析した『資本論』が再び重要性を増している、と両氏は指摘する。
資本主義社会で、なぜ人々は競争に明け暮れ、疲れ果ててしまうのか。「資本は死なないから」と佐藤氏は看破する。「資本主義システムとは、永遠に生きるゾンビです。しかし、それは人間というものから搾取して、吸い取ることによって生きているわけだから、がん細胞」
一方、池上氏は「資本主義社会を相対化するきっかけを与えてくれる」と指摘。「資本主義の中で、自分はいま、どういう位置にいるのか」。社会にのみ込まれるのではなく、突き放して自分自身を見つめ直すテキストとして『資本論』を読むことを薦めている。また、『21世紀の資本』の経済学者トマ・ピケティ氏と佐藤氏の対談も併録。(木)
−−「今週の本棚・新刊:『希望の資本論 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか』=池上彰・佐藤優著」、『毎日新聞』2015年06月07日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20150607ddm015070038000c.html