覚え書:「今週の本棚・新刊:『戦争を背負わされて 10代だった9人の証言』=広岩近広・著」、『毎日新聞』2015年07月26日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『戦争を背負わされて 10代だった9人の証言』=広岩近広・著
毎日新聞 2015年07月26日 東京朝刊
(岩波書店・2052円)
国をあげて戦争をしたとき、庶民はいかなる影響を受けるのか。この問いに答えてくれるのが、戦争の時代を生きた人たちの証言だ。本書は10代の頃に、戦争や原爆で苛烈な体験を強いられた人たちの記録である。第22回坂田記念ジャーナリズム賞を受賞した著者の企画報道「平和をたずねて」(毎日新聞大阪本社発行版)から9編が収録されている。
受賞理由を引きたい。
<沖縄戦に駆り出された少年通信士、被爆孤児となった女性の歳月、医師が体験した満州国崩壊の日々など体験者の迫真の証言を引き出している。証言者の特徴は、名もない一般の人々であり、彼らこそもっとも戦争の辛酸をなめた被害者であることを伝えている>
植民地朝鮮の国民学校で教職にあった女性や、地図から消された瀬戸内海の島で毒ガス製造に従事した男性の証言も重い。戦後70年を迎え、戦争体験者が高齢化し、直接話を聞くことが難しくなっている。しかし想像力を働かせれば、追体験ができる。本書は戦争の実相を知ることのできる貴重な一冊であり、新たに選挙権を得る18歳と19歳の若者をはじめ戦後世代に読んでほしい。(く)
−−「今週の本棚・新刊:『戦争を背負わされて 10代だった9人の証言』=広岩近広・著」、『毎日新聞』2015年07月26日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20150726ddm015070032000c.html
戦争を背負わされて——10代だった9人の証言
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