覚え書:「「積極的平和」提唱者は憂う ノルウェーの学者あす来日」、『朝日新聞』2015年08月18日(火)付。

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「積極的平和」提唱者は憂う ノルウェーの学者あす来日
2015年08月18日

 ■「日本は良い軌道、見いだせていない」

 新たな安全保障法制の成立をめざす安倍晋三首相が掲げるのは、「積極的平和主義」。しかし、この言葉を提唱したノルウェーの平和学者、ヨハン・ガルトゥング博士(84)が定義する意味とは異なる。博士は19日に来日し、「本当の平和とは何か」を語りかける。

 博士は1969年の論文で、戦争のない状態を「消極的平和」としたのに対して、貧困や差別といった構造的な暴力のない状態を「積極的平和主義」と定義した。

 「日本は良い軌道を見いだせていないと強く感じている。私が日本に行くのは、日本に大きく期待しているからです」。博士を日本に招いた関根健次さん(39)によると、博士は来日する目的をビデオメッセージに込めて、こう続けた。「私は、日本がこう主張するのを夢見てやまない。『欠点もあるが憲法9条を守っていく』『憲法9条が当たり前の世の中にしよう』『軍隊は持たず、外国の攻撃に備えることもない』『そして核兵器は持たない』と」

 関根さんは、福岡市内の映画配給会社「ユナイテッドピープル」の社長。「積極的平和主義」と繰り返す安倍首相を見て、「日本の平和のために世界に出て行って戦うってどういうこと? 暴力は暴力しか生まないのに」。博士が本来の提唱者だと知って4月、直接メールを送った。「あなたの意味する積極的平和を今、日本で説明してほしい。博士の力が必要です」

 インターネットで1カ月間寄付を募り、渡航費用や滞在費などのために約220万円が集まった。博士は19日午後3時から、東京・六本木でジャーナリストの田原総一朗氏と対談する。21日午後7時からは横浜で、特別講演のほかワークショップを開く。いずれも一般観覧者を募集中。問い合わせは、関根さんが代表理事を務める国際平和映像祭(support@ufpff.com)へ。
    −−「「積極的平和」提唱者は憂う ノルウェーの学者あす来日」、『朝日新聞』2015年08月18日(火)付。

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http://digital.asahi.com/articles/DA3S11919581.html





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