覚え書:「今週の本棚・新刊:『あの時子どもだったわたしたちは… 戦後七十年語り継ぐ戦争』=明日も平和であるために推進する会・編」、『毎日新聞』2015年08月09日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『あの時子どもだったわたしたちは… 戦後七十年語り継ぐ戦争』=明日も平和であるために推進する会・編
毎日新聞 2015年08月09日 東京朝刊

 (崙書房出版・2160円)

 「ある夜、附近一帯に大空襲があり、私達は火の中を逃げ竹藪(たけやぶ)にひそんで一晩を過ごしました。朝になって家に戻ると隣家のお婆(ばあ)さんが庭の木に寄りかかったまま息絶えていました」(空襲経験者)

 「この頃に食べたもの、ヘビを骨ごと十センチほどに切った代用醤油(しょうゆ)の漬け焼き、カエルのもも肉を焼いたもの、かたつむり等…」(疎開経験者)

 「『良い子が生まれた、一日も早く帰って抱いてやりたい』と父の手紙が届いたそうですが、その手紙が最後となりました」(戦没者遺族)

 「漁船の船倉に日本人四十人程詰め込まれ、全員船酔いに苦しみ、深夜一人の女の子が船倉から表に出たところ波にさらわれた。その時の母親のあの泣き声は七十年過ぎても忘れられない」(引き揚げ体験者)

 戦時下に少年少女だった人たちが、あの戦争をどう乗り越え、生き抜いてきたのか。千葉県流山市の市民団体が、同市在住のお年寄りを中心に集めた90編の体験記録集である。

 戦場というのは、必ずしも戦地だけではない。子どもたちもそれぞれの戦争を戦っていた。明るくけなげで、そして哀(かな)しい物語の数々が、平和の大切さを現代に伝える。(倉)
    −−「今週の本棚・新刊:『あの時子どもだったわたしたちは… 戦後七十年語り継ぐ戦争』=明日も平和であるために推進する会・編」、『毎日新聞』2015年08月09日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20150809ddm015070047000c.html



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