覚え書:「今週の本棚・新刊:『狼たちは天使の匂い 我が偏愛のアクション映画1964〜1980(1)』=町山智浩・著」、『毎日新聞』2015年08月23日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『狼たちは天使の匂い 我が偏愛のアクション映画1964〜1980(1)』=町山智浩・著
毎日新聞 2015年08月23日 東京朝刊

 (洋泉社・1512円)

 雑誌『映画秘宝』の連載エッセー「男の子映画道場」から23編を選(え)りすぐった。映画評論家の著者が幼い頃に見た、1960年代−70年代のギャング、殺し屋、警察、探偵を描いたアクション映画が中心。作品の魅力を熱っぽく語る。

 表題は「禁じられた遊び」で知られる巨匠ルネ・クレマン監督の「狼(おおかみ)は天使の匂い」(72年)へのオマージュ。話は、その脚本家セバスチャン・ジャプリゾへ。彼の脚本には、まねしたくなる“遊び”が登場する。日本でも大ヒットした、アラン・ドロンチャールズ・ブロンソン競演の「さらば友よ」(68年)。ラストシーンは有名だが、水で満杯のコップに、こぼさずにコインを5枚入れられるかを競う遊びも印象的だ。

 ブロンソンが主演した「雨の訪問者」(70年)。クルミをガラス窓に投げつけ、クルミが割れれば主人公の勝ち、逆にガラスが割れたら主人公は恋をしているという占い遊び。ちなみに彼をCMに起用した男性化粧品「マンダム」は「男の王国」という意味だそうだ。「狼は−」ではタバコを3本縦に積み上げる。ジャプリゾはなぜ、遊びにこだわるのか、著者の深い考察が読ませる。(な)
    −−「今週の本棚・新刊:『狼たちは天使の匂い 我が偏愛のアクション映画1964〜1980(1)』=町山智浩・著」、『毎日新聞』2015年08月23日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20150823ddm015070022000c.html



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