日記:右傾化する日本の政治の現実

Resize3903

        • -

 言い換えれば、こういうことである。冷戦の終焉とともに五五年体制の保革対立が解消されると、政党システムの流動化を経て小選挙区制の作用により二大政党制が登場し、有権者による政権選択を通じて、新右派転換が強化した国家権力に対するチェック・アンド・バランス機能が行われると謳われた。しかしオルタナティブとして育ったはずの民主党の方向により、戦後かつてないまでに政治システムがバランスを失い、首相官邸に集中した巨大な権力だけが抑制の利かないかたちで新右派統治エリートの手に残り、今それがさらに憲法の保障する個人の自由や権利を蝕む反自由の政治へと転化し、またその度外れの歴史修正主義で日本の国際的孤立を招きつつあるのである。これが右傾化する日本の政治の現実ではないか。だとするならば、対抗勢力を欠いたままでは、安倍政権の後も小休止をはさんで、さらにとめどなく右傾化が進んでいくことになる。
    −−中野晃一『右傾化する日本政治』岩波新書、2015年、191頁。

        • -



Resize3832


右傾化する日本政治 (岩波新書)
中野 晃一
岩波書店
売り上げランキング: 630