覚え書:「今週の本棚・新刊:『女、今日も仕事する』=大瀧純子・著」、『毎日新聞』2015年10月11日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『女、今日も仕事する』=大瀧純子・著
毎日新聞 2015年10月11日 東京朝刊

 (ミシマ社・1620円)

 バブル期に就職して、妊娠・出産をへて「復帰」し、今は会社社長を務める女性の自伝。著者もその会社も一般に著名とは言い難いが、定評のある版元の本ということで開くと、引き込まれた。ありきたりの成功物語という感じはない。むしろ、生きにくさを感じる若い社会人の男性にもお勧めできそう。

 著者の就職時は、男女雇用機会均等法施行から間もない好景気。大卒女性は気合十分、求人も多かった。今の目では、恵まれていたように見えるかも。しかし、女性差別を感じて会社を辞めたことも、クビを宣告されたこともある。

 制度や「常識」に順応し抜き、勝ち抜こうと疲れるより違和感は保ちつつ、だが、むやみに抵抗し抜くのでもない。「自分らしさ」にもこだわりすぎない。いや、こだわる余裕を失ったからこそ、むしろ自分らしく生きられた。そんな半生をさらりと記す。職場の「パワーゲームに乗らない」よう勧めるあたり、男性にも有効なアドバイスという気がする。「ダメ上司の取り扱いスキル」など、思わずにやりとさせられた。疲れたとき、一休みさせてくれて、かつ背中を押してくれそうな本だ。(生)
    −−「今週の本棚・新刊:『女、今日も仕事する』=大瀧純子・著」、『毎日新聞』2015年10月11日(日)付。

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