覚え書:「折々のことば:205 囚人が水たまりを脇へよけた…=鷲田清一」、『朝日新聞』2015年10月28日(水)付。

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折々のことば:205 囚人が水たまりを脇へよけた…
鷲田清一2015年10月28日


囚人が水たまりを脇へよけたとき、わたしはまだ盛りにある一つの生命を絶つことの深い意味……に気がついたのだった。

ジョージ・オーウェル

 囚人が広場の絞首台に連れて行かれる。衛兵に肩を掴(つか)まれながらも、途中水たまりのところでさっと脇によける。彼とわれわれは同じ世界を見、感じているのに、彼一人がふっと消える。これを目撃した作家は、人としての品位を自然に備えた一つの生命を抹消することの決定的な誤りを知る。随筆「絞首刑」(小野寺健訳)から。
    −−「折々のことば:205 囚人が水たまりを脇へよけた…=鷲田清一」、『朝日新聞』2015年10月28日(水)付。

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http://www.asahi.com/articles/ASHBB6HHVHBBUCVL00N.html


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