覚え書:「今週の本棚・新刊『文化運動年表 明治・大正編』=浦西和彦・著」、『毎日新聞』2016年01月24日(日)付。

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今週の本棚・新刊
『文化運動年表 明治・大正編』=浦西和彦・著

毎日新聞2016年1月24日 東京朝刊
 
 (三人社・1万9440円)

 中村太八郎片山潜らが社会問題研究会を組織した明治三〇年から大正末(昭和元)年までの、文化運動にかかわる事項を編年順に記載。時代を映し出す大冊だ。明治三一年三月二〇日、活版工同志懇話会、組織。四月五日、同会七名が解雇され、深川の印刷職工が同盟罷業に入るも失敗、懇話会消滅。明治三八年二月、岩藤思雪(いわとうしせつ)(作家岩藤雪夫の父)らが岐阜平民会を結成。同月、有島武郎平民新聞に寄稿したが「廃刊となっていた」。明治四四年五月二九日、普通選挙期成同盟に解散命令。六月一日、平塚らいてうらが青鞜社(せいとうしゃ)発起人会を開く。同一五日、石川啄木が「はてしなき議論の後」など九編の長詩を一七日にかけて作る。

 大正一〇年一〇月三一日、武者小路実篤が詩「戦争はよくない」を執筆。同月、柳原白蓮(びゃくれん)、夫の炭鉱王のもとから出奔し、宮崎龍介のもとへ走る、というように、隣りあう事実も含め、一つ一つが興味深い。大正一五年一二月七日、関鑑子(あきこ)が、前衛座公演に出演中、警視庁外事課に召喚され、午後四時半に帰宅。同じ日、中條(宮本)百合子が「牡丹(ぼたん)」三八枚を改造社へ発送。忘れられた遠い一日がよみがえる。(門)
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