覚え書:「今週の本棚・新刊 『佐藤優さん、神は本当に存在するのですか?』=竹内久美子、佐藤優・著」、『毎日新聞』2016年04月10日(日)付。

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今週の本棚・新刊
佐藤優さん、神は本当に存在するのですか?』=竹内久美子佐藤優・著

毎日新聞2016年4月10日 東京朝刊

 (文藝春秋・1620円)

 動物行動学を専門とする著述家の竹内氏と作家・元外務省主任分析官の佐藤氏による「宗教と科学のガチンコ対談」。竹内氏は『神は妄想である』『利己的な遺伝子』の著書で有名な英国の動物行動学者、リチャード・ドーキンスの影響を受けた「無神論者」。一方、佐藤氏は同志社大大学院で神学を学び、自身もプロテスタントキリスト教徒である「神学者」。一見、相いれそうもない二人の意外な共通点は、父親の職業が「銀行に勤める電気技術者」。

 「遺伝子」「キリスト教」を補助線に、竹内氏が率直に疑問をぶつけ、佐藤氏が真摯(しんし)に答える。たとえば、竹内氏が理性を重視する近代合理主義の行き詰まりについて尋ねると、佐藤氏は合理主義では解決不能な「第一次世界大戦」が現実世界に起きたからと解説。竹内氏が『聖書』に対する疑念を吐露すると、佐藤氏は「到底できないことを基準として掲げることによって、(略)罪びとであることを認識させるわけです」。さらに議論が「浮気」に及ぶと、竹内氏が人間の特殊事情として「言葉は浮気をするためにある」と弁舌さわやかに持論を展開。適度に脱線しつつ、興味が尽きない。(な)
    −−「今週の本棚・新刊 『佐藤優さん、神は本当に存在するのですか?』=竹内久美子佐藤優・著」、『毎日新聞』2016年04月10日(日)付。

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