覚え書:「2020年の中国―「新常態」がもたらす変化と事業機会 [編著]此本臣吾、松野豊、川嶋一郎 [評者]加藤出」、『朝日新聞』2016年06月05日(日)付。

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2020年の中国―「新常態」がもたらす変化と事業機会 [編著]此本臣吾、松野豊、川嶋一郎
[評者]加藤出  [掲載]2016年06月05日   [ジャンル]経済 社会 
 
 日本の書店では、中国経済の崩壊を告げる本が大量に平積みされている。これは、欧米の書店では見られない独特の光景である。
 本書の冒頭に、在中国日系企業の多くの経営者が、中国の見方に関する「日本本社との温度差」に苦慮しているとの話が登場する。評者も中国に出張する度に、同様の嘆きを関係者から頻繁に聞くため、その問題意識は共感できる。
 確かに中国経済は減速している。だが中成長の「新常態」であっても、消費やIT関連など成長が期待される巨大な市場が存在する。しかも「量」から「質」への転換が起きているため、その経験を持つ日本企業にとっては、今後約20年は「見える」部分がある。
 「新常態」下で起き得る変化やリスクに対する「察知力」を高める必要はあるものの、「中国市場を今一度冷静に見直せばそこには必ずビジネスチャンスがある」と本書は強調する。中国経済の動向をバランスよくとらえた一冊といえる。
    −−「2020年の中国―「新常態」がもたらす変化と事業機会 [編著]此本臣吾、松野豊、川嶋一郎 [評者]加藤出」、『朝日新聞』2016年06月05日(日)付。

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