覚え書:「憲法・こう考える /3 公明 北側一雄・副代表」、『毎日新聞』2016年05月04日(水)付。

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憲法・こう考える
/3 公明 北側一雄・副代表

毎日新聞2016年5月4日 東京朝刊
 
=猪飼健史撮影
 
 −−安倍晋三首相は憲法改正に積極的な発言を繰り返していますが、夏の参院選で争点になるでしょうか。

<「毎日新聞・政治意識アンケート」実施中>
 ◆改憲は争点にはならないのではないか。自民党結党以来の党是なので、首相が改憲の是非を問われて「変える」と答えるのは当然のことだ。だが、首相が参院選改憲を争点化したいと思っているという話は聞いたことがない。経済と社会保障が主な争点になるだろう。憲法の変えるべき論点が定まらない現状では対立軸を立てられず、争点化はできない。政局とは切り離して冷静に議論すべきだ。

 −−憲法に「緊急事態条項」を新たに書き込む議論があります。

 ◆災害対策基本法や国民保護法など、緊急事態を想定した詳細な法整備が既になされている。首相への権限集中や国民の人権制限の根拠とする「緊急事態条項」を憲法に盛り込む必要はない。一方、国会議員の任期は憲法に明確に規定されており、緊急時の任期延長は議論の余地がある。衆院が解散されていても参院の緊急集会で危機対応できるとの考えもあるが、東日本大震災のような大災害時こそ、国会が十全に役割を果たすことが求められるのではないか。ただ、緊急事態とは何か、誰が判断するのかなど、詰めるべき論点は多い。各党間でじっくりと議論を重ねていく必要がある。

 −−安全保障関連法が施行され、9条改正の必要はなくなったとの意見があります。

 ◆平和安全(安保関連)法制の整備によって、厳しい安全保障環境の下であっても隙間(すきま)のない安全確保が可能になったと判断している。そのため当面は9条を憲法改正のテーマとする必要はないと考えている。一方、現行憲法には自衛隊が明記されておらず、中長期的には書き加える必要はあるかもしれない。しかし、自衛隊違憲と見る国民は限られており、喫緊の課題とは言えない。

 −−公明党が主張する「加憲」とはどういうものでしょうか。

 ◆大前提として我々は「基本的人権の尊重」「恒久平和主義」「国民主権」の3原理を持ち、日本の戦後民主主義の土台を築いた現行憲法を評価している。国民にも広く定着しているこの3原理を堅持した上で、時代の変化に応じて必要な条項を付け加えるのが「加憲」の考え方だ。手続き上、憲法の全部を一度に変えることは不可能で、最も優れた改憲方法ではないか。

 −−最初の改憲は、どのような枠組みで議論を進めるべきでしょうか。

 ◆議論すべき中身を決めずに、枠組みから考えるのはナンセンスだ。まずは現行憲法のどこを守り、何を変えるのかを議論することが肝要だ。各党間で議論を積み重ねる中で、政党間の合意形成に努め、国民の理解を深めることが重要だ。【聞き手・高橋克哉】=つづく

 ■人物略歴

きたがわ・かずお
 1953年生まれ。創価大卒、弁護士。1990年衆院選で旧大阪5区で初当選し、当選8回。国土交通相、党幹事長などを歴任。
    −−「憲法・こう考える /3 公明 北側一雄・副代表」、『毎日新聞』2016年05月04日(水)付。

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