覚え書:「【書く人】心地良い暮らしの源 『孤独って素敵なこと』 女優・ライフコーディネーター 浜美枝さん(72)」、『東京新聞』2016年07月31日(日)付。

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【書く人】

心地良い暮らしの源 『孤独って素敵なこと』 女優・ライフコーディネーター 浜美枝さん(72)

2016年7月31日
 
 一九六七年に公開された映画「007は二度死ぬ」で、日本初のボンドガールに。テレビ番組「小川宏ショー」「いい朝8時」の司会などとしても知られた浜美枝さんが、エッセー集を出した。自身の半生を振り返りつつ、暮らしや人生、孤独についての思いをつづっている。
 「ごく自然な流れの中で求めてきた『居心地のいい自分自身』は、女優になりたてのころの華やかな生活でもなく、普通の暮らしをしている私だったんですね。今、子どもたちは自立し、大勢ではないけれど友人もいて、そんな家族や友達との時間、何より独りの時間がとても大切。普通の暮らしの中でそうした時間を大切にしていく。心地良いです、いま」
 東京大空襲の戦火を危うく逃れた幼子のころ、中学を出て十五歳でバスの車掌として働き始めた少女時代。そして女優の世界に入って一変した生活…。「心地良い」とはっきりと言える現在に至るまでには「人生ですから、いろんなことがありました」と振り返る。「体調を崩したことも、流産も。でも独りの時間があったから、孤独が、そして考える時間があったから、その先に青い鳥…心が充実した自分自身の暮らしが見えてきた」という。
 「孤独は自分の中の生活の一部だし仲間だとも思う。子どものころから無意識にその中にいる自分が好きでしたし、振り返ってみるとあらためて孤独ってすてきなこと。その時間があったから今、私、こうやって心地良くいられるのかしらって思うことができたんです」
 自然豊かな箱根の芦ノ湖近くの土地に、三十代のころから古民家を移築して暮らしている。自宅に開いたギャラリー「箱根やまぼうし」では展覧会やイベントも開催。現在、文化放送ラジオ「浜美枝のいつかあなたと」のパーソナリティーも務めている。
 「私だけじゃなく、多くの方が孤独を感じている。孤独に耐えられず、つらい思いをしていらっしゃる方も。箱根の家では女性とお会いする機会が多く、ラジオでもリスナーの方からお話を伺うとそれがよくわかる。でも、幸せはいつも光り輝くようにあるわけではないし、孤独を受け入れて見えてくる幸せや豊かさもあると感じます。そうしたことを、特に女性の方と共有できたらうれしいですね」
 講談社・一二九六円。 (岩岡千景)
    −−「【書く人】心地良い暮らしの源 『孤独って素敵なこと』 女優・ライフコーディネーター 浜美枝さん(72)」、『東京新聞』2016年07月31日(日)付。

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