覚え書:「日本国民であるために 民主主義を考える四つの問い [著]互盛央 [評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年09月04日(日)付。

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日本国民であるために 民主主義を考える四つの問い [著]互盛央
[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)  [掲載]2016年09月04日   [ジャンル]政治 社会 
 
 駅で列車を待つ列への割り込みはなぜ許されない? 日常生活の中で抱いた問いを出発点として著者は日本が本当の民主主義国家になる条件を探ってゆく。
 そこではホッブズやロックの社会契約説が再検討され、統治される国民が統治する主権者でもある民主主義を実現する上で「一般意志」の必要性を唱えたルソーが再読される。これら西欧の政治思想を踏まえ、国家主権のひとつである交戦権を、日米同盟に基づき、アメリカが自衛隊を介して行使する構図がある戦後日本では国民が主権者になれない事情が指摘される。
 この民主主義の機能不全状況をいかに越えるか。憲法9条日米安保の同時廃棄という劇薬的対策を選ばずに本書が到達した着地点についてはぜひ読者自身で確かめて欲しい。言語行為論に着想を得た驚くべき提案がなされるとだけ記しておくが、公的な私、「私たちとしての私」の重要性を説く本書の丁寧な議論を経た後なら十分に咀嚼(そしゃく)できるはずだ。
    −−「日本国民であるために 民主主義を考える四つの問い [著]互盛央 [評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年09月04日(日)付。

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「私たちとしての私」の重要性|好書好日



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