覚え書:「分かれ道ノストラダムス [著]深緑野分 [評者]末國善己(文芸評論家)」、『朝日新聞』2016年11月13日(日)付。

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分かれ道ノストラダムス [著]深緑野分
[評者]末國善己(文芸評論家)  [掲載]2016年11月13日   [ジャンル]文芸 


 『戦場のコックたち』が高く評価された著者の新作は、ノストラダムスの大予言が注目を集めていた1999年の日本を舞台にした青春ミステリーである。
 高1のあさぎは、2年前に死んだ友人・基(もとき)の祖母から、日記を渡される。基は日記の中で、両親が事故死しなかった世界を夢想していた。あさぎも同級生の八女(やめ)の助けを借り、基の命を救う思考実験を始める。
 その頃、あさぎの周囲では、大予言を信じるカルトが騒動を起こし、八女の友人で熱帯魚ショップを営む久慈が失踪するなど、不可解な事件が連続していた。
 どんでん返しが連続し、無関係に思えたエピソードがつながる怒濤(どとう)の展開は圧倒的。その中に、派手な活劇や淡い恋なども織り込まれており、ページをくる手が止まらないだろう。
 人生の岐路は、誰にも訪れる。それだけに、事件に巻き込まれ様々な選択を迫られるあさぎが、迷いながらも進むべき道を決める終盤は、感動も深いはずだ。
    −−「分かれ道ノストラダムス [著]深緑野分 [評者]末國善己(文芸評論家)」、『朝日新聞』2016年11月13日(日)付。

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大予言の年の不可解な事件|好書好日


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