覚え書:「首相への影響力、問われる山口氏 公明代表に無投票で5選」、『朝日新聞』2016年09月10日(土)付。

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首相への影響力、問われる山口氏 公明代表に無投票で5選
2016年9月10日

無投票で5選が決まり、会見する公明党山口那津男代表=9日午後、東京都新宿区、岩下毅撮影
 
 公明党代表選で山口那津男代表(64)の無投票5選が9日、決まった。17日の党大会で正式に選出される。「党の顔」を期待されての続投だが、自民党が衆参両院で単独過半数を占めるなか、憲法改正に意欲を示す安倍晋三首相に対して発言力を確保できるかが問われる。

 公明党は1964年の結党以来、トップを決める選挙は無投票。事前の調整で人事を決めるためだ。山口氏は2009年の代表就任からすでに7年。任期2年を全うすれば、神崎武法氏の在任期間を超え、最長の竹入義勝氏に次ぐ「長期政権」になる。

 5選の決め手は7月の参院選だった。過去最多と並ぶ14議席を獲得。こうした実績に加え、歯切れの良い演説に、一般の創価学会員の人気も高い。「党の顔」になれる人材が育っていないこともあり、続投は既定路線だった。山口氏は9日の記者会見で「政権の安定と、その下での政策実現に全力を尽くす」と語った。

 ただ、党内では政権に対する影響力不足が指摘される。

 昨年の安全保障関連法の審議をめぐっては、慎重姿勢を示していたにもかかわらず、首相に押し切られ、成立に協力した経緯があるからだ。参院選で選挙区候補が首相の応援も受けるなど、選挙での相互依存が強まったことも、山口氏の手足を縛る。

 早急な改憲議論を警戒する公明党にあって、参院選で「国民がダメというものはやらせてはいけない」と主張した山口氏だが、9日の会見では「(自公の)どこがどう同じか違うのかは、まだ議論が深まっていない」と指摘するにとどまった。

 党内には「連立与党の党首として、官邸の空気を読み取れていない」(幹部)との声もある。5月の消費増税の先送りの判断を首相がまず伝えたのは別の公明幹部で、山口氏ではなかった。このため、山口氏は状況を把握しきれないまま、増税実施を唱え続ける結果となった。

 山口氏は「長年の政治的な経験がものを言う場面も多い」として7年コンビを組み、自民党創価学会に太いパイプを持つ井上義久幹事長(69)を続投させる意向を強くにじませた。ある党幹部は「『陰の党首』の井上さんとの体制でやるしかない」と漏らした。

 (南彰、久木良太)
    −−「首相への影響力、問われる山口氏 公明代表に無投票で5選」、『朝日新聞』2016年09月10日(土)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S12552406.html





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