覚え書:「ビジネス 「決め方」の経済学―「みんなの意見のまとめ方」を科学する [著]坂井豊貴 [文]勝見明(ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年09月04日(日)付。

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ビジネス
「決め方」の経済学―「みんなの意見のまとめ方」を科学する [著]坂井豊貴
[文]勝見明(ジャーナリスト)  [掲載]2016年09月04日
 
■多数意見の反映とは限らぬ多数決

 2000年の米大統領選。民主党ゴア、共和党ブッシュの両候補に加え、ゴアと支持層がかぶる第3の候補ネーダーの参戦により、票の割れが起こり、ブッシュが逆転勝利した。もし、決選投票を行ったらゴアが勝ち、その後のイラク侵攻も、イスラム国の誕生もなかったかもしれない。
 決め方次第で歴史も変わる。多数決の結果が多数意見を反映するとは限らない。前著『多数決を疑う』と同様、経済学の視点で多数決を考える著者の強い問題意識だ。
 二択の多数決で「正しい判断」ができるためには、投票者に三つの条件が必要だという。(1)共通の目標がある(2)「表裏が半々の確率で出るコイントス」よりはうまく判断できる(3)判断の独立性がある。
 国会議員の党議拘束は(3)に反する。国会で多数決で決めてよいことに制限をかけるのが憲法で、立憲主義は多数決を使いこなす知恵との見方は決め方の研究者ならではだ。
 昼ご飯の店の選択など、「多数決はどうでもよいことを決めるのには実に適している」の指摘も目からウロコだ。三択では「1位に3点、2位に2点、3位に1点」と配すると票が割れず、ゴアも当選できた。決め方を決める大切さを実感し、その方法を学ぶ。
    −−「ビジネス 「決め方」の経済学―「みんなの意見のまとめ方」を科学する [著]坂井豊貴 [文]勝見明(ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年09月04日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2016090400014.html



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