日記:「普通」であろうとしすぎるな

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「普通」であろうとしすぎるな
 私はオーストラリア人と日本人のハーフです。父はオーストラリアの軍人、母は広島県がルーツの日系アメリカ人。私の妻も日本人です。妻は群馬県の出身で、明治大学卒業後、オーストラリアで日本語教師をしていました。
 私が来日する前、日本に抱いていたイメージは、日本の女性はとても強いというもの。これは母と妻に対する印象からでてきたものだと思います。
 一般的に、日本女性というと、なよやかなイメージを持つ人が多いと思いますが、私の場合は正反対でした。そして、女性だけでなく、日本人自体が、強い国民なのだと思っていました。
 しかし、実際に日本に来てしばらく過ごすと、そのイメージは変わりました。女性が強いというイメージはそのままでしたが、日本人は、おそろしく他人に気を配る人たちでした。
 日本人にとって何より大事なのは、「普通」であること。社会から疎外されないことに、重きを置きながら、暮らしているように感じたのです。
 つまり、個人より、集団や組織が重視されているということです。
 個人を犠牲にしながら、集団の維持や発展に力を注ぐ。その方法によって、第二次世界大戦後に日本は復興し、世界第2位の経済大国いまで、大きく発展したのだと思います。
 日本人は出しゃばることを好まず、グループに溶け込み、そこに自分の居場所を見出すことが心地いいのだと思います。
 それが当初、私には、非常に理解しにくかった。
 私は日本人や日本社会、そして日本という国に愛情を抱いています。しかし、社会的なつながりを非常に重視する点は、やはり大きな驚きでした。
 エディー・ジョーンズ『ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング』講談社、2016年、48−50頁。

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